診療紹介
耳鼻咽喉科・頭頚部外科では主に以下の診療を行っています。
難聴診療:主に伝音難聴の聴力改善を目的とした鼓室形成術を行っています。対象となる疾患は、1) 慢性中耳炎、2) 真珠腫性中耳炎、3) 中耳奇形などです。耳硬化症や外リンパ瘻に対しては、内耳手術を行っています。耳が全く聞こえず補聴器も役に立たない難聴の患者さんには、人工内耳手術を行っています。 突発性難聴などの感音難聴の疾患も診察しています。
めまい診療:メニエール病、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎などの末梢性(内耳性)めまいを中心に、様々なめまい疾患に対する診断と治療を行っています。難治性メニエール病に対しては、内リンパ嚢開放・高濃度ステロイド挿入術を行っています。
顔面神経診療:ベル麻痺やハント症候群などの顔面神経麻痺に対する診断と治療を行っています。また、顔面神経障害が高度で後遺症の発症が予想される場合には、ミラーバイオフィードバック療法による予防を行っています。また、顔面神経麻痺後に後遺症が発症した場合には、ボツリヌス毒素・ミラーバイオフィードバック療法による治療を行っています。顔面けいれんや顔面ジストニアなど診断と治療も行っています。
小児難聴・言語診療:先天性難聴だけでなく滲出性中耳炎なども含めた小児の難聴・コミュニュケーション障害の早期発見と治療を行っています。小児の年齢に応じた聴性脳幹反応(ABR)、聴性定常反応(ASSR)、ピープショーなど聴力検査機器を備え、聾学校と連携を取り、0歳児からの補聴器を用いた聴能訓練、小児の人工内耳とハビリテーションを行っています。
鼻・アレルギー診療:慢性副鼻腔炎(蓄膿症)は、まずマクロライド系抗生物質の少量長期投与法で治療を行い、手術が必要な場合は内視鏡を用いた鼻・副鼻腔手術(Endoscopic Sinus Surgery、ESS)で治療しています。マイクロデブリッター、KTPレーザー、超音波メスなど高性能の機器を導入し、ナビゲーションを用いた安全な手術を心がけています。花粉症の患者さんには、眠気の副作用がほとんどない第2世代の抗アレルギー薬や鼻噴霧ステロイドによる初期治療をお勧めしています。通年性のアレルギー性鼻炎の患者さんにはレーザー治療、鼻閉が強い患者さんには、粘膜下鼻甲介骨切除術と鼻中隔弯曲矯正術、難治性のアレルギー性鼻炎の患者さんには後鼻神経切除術を行っています。
睡眠時無呼吸診療:いびき症や閉塞型睡眠時無呼吸の診断と治療を行っています。小児の閉塞型睡眠時無呼吸症候群は、口蓋扁桃摘出術とアデノイド切除術でほとんどの場合、治癒します。成人の閉塞型睡眠時無呼吸症候群は、CPAP(持続陽圧呼吸療法)による治療が標準的ですが、鼻閉がある患者さんには鼻腔通気改善手術を行います。また、口蓋扁桃が肥大している成人の閉塞型睡眠時無呼吸症候群の場合はUPPP(口蓋垂口蓋咽頭形成術)を行っています。
頭頸部腫瘍診療:頭頸部腫瘍は頭頸部に発生する腫瘍であり、良性頭頸部腫瘍と悪性頭頸部腫瘍の診断と治療を行っています。腫瘍頭頸部における悪性腫瘍の発生率は全悪性腫瘍の約5%を占めます。喉頭癌、舌癌・口腔癌、咽頭癌、副鼻腔眼、唾液腺癌、甲状腺癌、聴器癌を含みます。手術だけでなく、放射線治療や化学療法を含む集学的治療を行っています。
音声診療:声帯ポリープ、声帯結節、喉頭癌、反回神経麻痺、けいれん性発声障害などの声の病気のほかに、口蓋裂、ことばの遅れ、失語症などの言語の病気も扱っています。電子内視鏡、ストロボスコープ、喉頭筋電図、構音検査などを用いて診断を行っています。喉頭微細手術や声帯注入手術などの音声外科的治療だけでなく、音声訓練や喉頭癌で喉頭を失った患者さんの手術後の音声の再獲得もサポートしています。
味覚:味覚外来では、「味」がわからない患者さんを治療しています。舌炎や口内炎などの明らかに異常が認められない場合には、血液中の亜鉛の不足が原因のことが多く、亜鉛製剤の投与により治療します。
唾液腺診療:当科の唾液腺外来では、ドライアイやドライマウスを訴えるシェーグレン症候群の診断と治療を行っています。ミクリッツ病の患者さんの診断と治療も行っています