上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)による消化器癌の診断
当科では、少しでも楽に検査を受けられるように希望者には鎮静剤を投与し、眠っている間に内視鏡検査を受けて頂きます。また、経鼻内視鏡を受けて頂くこともできます。熟練した専門医が内視鏡検査を行ない、小さい癌、早期癌の診断を行います。
また、癌の広がりや深さ(深達度)を正確に診断するために、色素内視鏡(青い色素を散布する)、拡大内視鏡、NBI内視鏡、超音波内視鏡検査、など最先端の技術を用いています。
下部消化管内視鏡検査による消化器癌の診断
胃カメラ同様に、楽に検査を受けられるように、希望者には鎮静剤を投与して行なっています。熟練した内視鏡専門医が10〜15分で盲腸(大腸の末端)まで苦痛なく挿入し、癌やポリープがないかどうかを検査します。
消化器癌の内視鏡治療
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
当科では、癌の深さ(深達度)が粘膜内に留まるものであれば、大きさに関係無く(5〜10cmあっても)内視鏡的に切除することができます。つまり、胃(大腸や食道)を手術によりとることなく、がんを治すことができます。
当科では、食道癌、胃癌、大腸癌のいずれに対しても積極的にESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を行なっています。熟練した内視鏡専門医が行ないます。
上記以外にも病状に応じて様々な内視鏡治療を選択することができますので、詳しくは担当医にお尋ね下さい。
消化器癌の化学療法
手術することができない癌は、抗癌剤により治療します。最近は、新しい抗癌剤や分子標的治療薬が開発され、吐気が無く、治療することができます。当科では、がん薬物療法専門医(腫瘍内科専門医)が治療にあたります。
(1)食道癌の化学療法
5-FU, ネダプラチン、ドセタキセルなどの最新の薬剤を組み合わせて化学放射線療法を行なっています。従来、手術しなければ治らなかった症例も本療法により完治例が多数認められます。
(2)胃癌の化学療法
ドセタキセル、シスプラチン、S-1(DCS療法)の3剤併用療法で80%以上の高い奏効率が得られています。
(3)大腸癌の化学療法
オキザリプラチンなどの新規抗癌剤、アービタックス、アバスチンなどの分子標的治療薬を積極的に用いて、高い奏効率を上げています。
(4) 消化管間質腫瘍(GIST)や神経内分泌腫瘍(NET, NEC)の薬物療法
GISTに対するイマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブなどの治療、NETやNECに対するエベロリムス、スニチニブ、ストレプトゾトシンなどを用いた専門的な薬物療法を行っています。
カプセル内視鏡、小腸内視鏡
悪性リンパ腫、GIST(消化管間質腫瘍)、癌などの小腸腫瘍や、小腸の出血性病変の診断を積極的に行なうのみならず、内視鏡治療を行なっています。
肝炎の診断・治療
徳島県は肝疾患死亡率が非常に高い県です。その多くはC型肝炎、B型肝炎、アルコール性肝炎などです。C型肝炎、B型肝炎に対してはとくに最新の治療を行なっています。C型肝炎には新しいインターフェロン(ペグイントロン)とリバビリンを併用することにより60%以上の治癒率が得られております。万が一この治療が効かなかった患者さんにも、二重濾過血漿交換療法(DFPP)とインターフェロン治療を組み合わせる新しい治療を行なっています。一方、B型肝炎に対してはエンテカビルなどの新しい抗ウイルス剤を用いて治療しています。肝炎ウイルスやアルコールなどの原因となるものを回避(駆除)することにより、少しでも炎症を抑え、肝硬変への進展を抑えることが発癌の抑制につながります。
肝癌の内科治療
C型肝炎、B型肝炎、アルコール性肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、などの患者さん、とくに肝硬変になっている方は肝臓癌の高危険群です。血液検査や腹部エコー、CT検査、またはMRIなどの画像診断検査を定期的に行なって早期に癌を診断することが大切です。以前は手術しなければ治らなかったような癌でも、当科ではラジオ波焼灼療法(RFA)、経カテーテル的肝動脈塞栓術(TAE)などにより治療を行なっています。RFAの難しい場所にある癌に対しては人工胸水・腹水を駆使してRFA治療を行ない、肝予備能の低い症例には超選択的にTAEを行なって治療します。また、最新の分子標的治療薬であるソラフェニブによる治療も積極的に行なっています。
胆膵疾患の診断・治療
膵癌、胆嚢癌、胆管癌、膵炎、胆嚢・胆管炎に対する専門的な診断、治療を行なっています。
とくに膵癌、胆嚢・胆肝癌の患者さんが多く専門的な癌治療を行なっています。
膵癌や胆嚢・胆管癌は、エコー、CT、MRI, PETなどにより行ないますが、最終的には内視鏡的膵胆管造影法(endoscopic retrograde cholangiopancreatography;ERCP)により初めて診断される例も少なくありません。膵癌でも、胆管癌でも、黄疸がある場合には、胆管内に内視鏡的にステントを留置して、黄疸を解除することができます。そして、膵癌に対しては最新の治療であるジェムザール/S-1併用化学療法を行ない、大変良い成績をあげています。膵癌の進行度合いによっては、放射線療法も併用します。胆嚢・胆管癌に対しても、ジェムザール/S-1併用の化学療法・放射線療法を行なっています。
上記以外にもいろんな肝・胆・膵疾患で内視鏡治療・薬物療法が可能ですが、全ての患者様に可能なわけではありません。詳しくは消化器内科医師とご相談ください。