内視鏡手術支援ロボット「da Vinci」「hinotori」ついて

腹腔鏡手術や胸腔鏡手術など内視鏡下手術を支援するロボットは、1990年代から米国で開発・導入されてきましたが、日本では2009年に米国インティテュイティブサージカル社のda Vinci Sが薬事承認され2010年から販売が開始されました。その後、全国の主に大学病院に導入され、徳島大学病院では2011年7月に四国では最初に、全国でも比較的早くda Vinci Sを導入しました。慎重に準備を進めて2011年10月に前立腺癌に対するロボット支援前立腺摘除術の第1例目を実施しました。その後順調に導入が進み、2012年4月にはロボット支援前立腺摘除術が保険適応となり、ロボット支援手術が全国的に急速に普及しました。その後、2016年には腎細胞癌に対する腎部分切除術が保険適応となりました。2018年には膀胱癌、胃癌、直腸癌、肺癌に対する手術など多くの手術が保険適応となり、泌尿器科以外にもロボット支援手術が広がり、徳島大学病院でも消化器外科、呼吸器外科、婦人科で導入され、多くのロボット支援手術が実施されるようになりました。この間、da Vinci はSからSi、Xiへとバージョンアップされ、性能が向上しました。徳島大学病院でも2018年にda Vinci Sから最新のXiに移行し、多くの手術への対応が容易になりました。

泌尿器科、外科、婦人科領域で使用される手術支援ロボットはインテュイティブ社のダビンチサージカルシステムのみしかありませんでしたが、2020年8月には国産の手術支援ロボット、メディカロイド社のhinotoriサージカルロボットシステムが製造販売承認され、9月には泌尿器科領域の手術に保険適応されました。2020年12月には神戸大学でロボット支援前立腺摘除術の第1例目が実施されました。徳島大学病院では2020年12月にhinotoriが導入され、2021年4月に神戸大学、和歌山県立医科大学に次いで全国3番目にhinotoriを用いたロボット支援前立腺摘除術の第1例目が実施され、順調に症例を重ねています。現在は、泌尿器科領域の手術のみ保険適応されていますが、今後は、外科領域、婦人科領域でも保険適応される予定です。ますますロボット支援手術の保険適応が増え、多くの診療科で導入・普及が進むものと思われます。

さらにhinotoriは、2022年10月より消化器外科・婦人科領域も保険適応となりました。また、コヴィディエンジャパン株式会社のHugo RASシステムも2022年11月から泌尿器科・婦人科領域で保険適応となり、12月から販売が開始されました。今後ますますロボット支援手術が普及するものと思われます。徳島大学病院では2023年2月現在ダビンチXiが2台、hinotoriが1台稼働しており、多くのロボット支援手術が実施されています。

手術支援ロボットhinotoriと手術中の操作の様子 手術支援ロボットhinotoriと手術中の操作の様子