がん遺伝子パネル検査とは

細胞の増殖に関わる遺伝子に病的な変化(変異)が起こると、細胞が増殖を続け、正常な細胞が、がん細胞に変化します。これらの遺伝子の変異を調べる検査が、がん遺伝子パネル検査です。手術や組織検査で採取したがん組織を用いたり、血液中に流入しているがん細胞の成分を使って検査を行います。検査の種類によりますが、73~523種類の遺伝子の変異を一度に調べることができます。変異した遺伝子の働きを止める薬がある場合は、その薬を使うことで癌の増殖を抑制できる可能性があります。がんの再発後に、標準的な治療を行なったにも関わらず、がんが治癒していない患者さんがこの検査の対象となります。

検査が導入された当時、検査は全額自費でしたが、最近では、効果の確認されている治療が終了して、かつ薬が見つかった際に治療ができる体力が残っている患者さんには、本検査に保険が適応されるようになり、検査を行う患者さんが増えています。

癌パネル検査を行ったとしても、必ず薬が見つかるというわけではありません。遺伝子の変異が見つかっても、それに対する薬がない場合は治療ができません。検査や手術で摘出した組織の質が悪くなっている場合は、結果が得られない場合もあります。

変異に対応する薬が見つかる可能性は約10%と言われています。幸い薬が見つかった場合でも、保険適応されていない薬剤であった場合は、治療費が高額になるケースがあります。臨床試験が行われている薬剤の場合、それを利用して治療を受けられるケースもありますが、効果が十分に証明されていない薬での治療となる場合があります。検査に比べて治療費用の問題が十分解決されていないのが実情です。

主治医の先生から、ご紹介いただいた後、迅速にパネル検査の適応や、方法について審査を行っております。何かできることはないのかと考えている患者さんはぜひ主治医の先生に相談して下さい。

手術支援ロボットhinotoriと手術中の操作の様子 遺伝子診断カンファレンスの様子

がん診療連携センターHP