総合腎臓病センターとは
腎臓病は患者の生命、生活の質(QOL)を脅かし、最終的に末期腎不全に移行すれば、血液透析、腹膜透析、腎移植を必要とし、その医療費は社会に膨大な経済的な負担を課します。透析患者の増加を阻止することは腎臓病の診療の最大の目標です。こうした中、徳島県での腎不全医療は全国的にみて十分とは言えません。平成30年腎不全関連の死亡率は全国第1位でありました。令和元年の人口当たりの新規透析導入患者数は全国3位、加えて透析患者の平均透析年数は全国5位であり、今後の透析阻止そして透析患者さんが立ち向かう合併症対策は急務です。徳島県では腎臓病医療および透析医療のさらなる活性化が求められています。
徳島大学病院は大学病院の強みである高度専門医療及びチーム医療を活用した腎不全患者や維持透析患者への多面的なケア、地域の開業医の先生方や他の基幹病院との連携を検討しました。そして個々の活動を統合的に展開するための医療組織を設置することが必要と考えられ、「総合腎臓病センター」を設置することとなりました。
活動の概要
現在大きく5つの活動が軌道に乗っています。(図1)
(図1)
① 透析カンファレンス
各科特に内科、外科系の科の透析患者さんの透析管理に関して主治医とともに最善の治療法を模索します。管理栄養士の先生も入れて、栄養管理につき議論します。(写真1)
② 泌腎カンファレンス
移植患者の腎生検、ドナーの片腎患者の経過観察について意見交換します。腎不全関連の手術について情報交換をします。
③ 糖尿病重症化予防入院
糖尿病性腎臓病患者の患者、重症化の兆しのある患者の急性増悪への入院管理を行い、合併症の検査、リハビリや食事の管理を行います。
④ 小児腎カンファレンス
小児腎疾患患者に関して内科的意見や小児から成人腎疾患への引継ぎを行います。(写真2)
⑤ 腎臓病の早期発見、早期介入計画
開業医の先生方との紹介、逆紹介の連携モデルを構築しています。
こうした院内外の活動を通し、腎不全医療の充実、透析阻止、末期腎不全患者さんのQOLの向上に努めたいと考えております。
(写真1)透析カンファレンスの様子
(写真2)小児腎カンファレンスの様子