診療紹介

高次脳センター(筋電図室)は脳・神経に関連する診療科・部・教室が共同運営し,診療活動や研究活動を行う施設です.

私たち人間は,当たり前のように歩いたり,食事を摂ったり,人と話をしたりして生活しています.神経や筋肉に障害が発生すれば,こうした当たり前にできている動作が難しくなり,日常生活に支障を来します.

神経は脳や脊髄からなる「中枢神経」とそこから全身に分布する「末梢神経」とに分類されます.これらの神経や,神経の指令を受けて働く筋肉のどこが障害されても,日常生活の動作が困難になります.高次脳センターでは,このような日常生活動作が困難になった患者様が,中枢神経,末梢神経,筋肉のいずれがどのように障害されているのかを判断し診療を進めるために必要な神経生理検査を主に行っています.神経生理検査には以下のものが含まれます.

【神経伝導検査】
末梢神経に電気の刺激を加え,それに対する反応を筋肉や神経上に置いた電極から記録します.電気の刺激といっても低周波の肩こりの治療器と同じようなものです.刺激の感じ方に個人差はありますが,少しピリピリとした感覚が生じ,軽い痛みを伴うことがありますが身体に危険はありません.ベッドに横になっていただき,手足に電極を付けます.電気の刺激を1つの神経につき数か所で行い(腕の場合だと手首,肘,脇の下,足の場合だと足首と膝裏など),刺激した箇所に水性ペンで印をつけ,メジャーでその距離を測定します.所要時間は約30~60分です.
ペースメーカーや埋め込み型電気的除細動器を使用されている方は,検査時に担当者におっしゃってください.

【大脳誘発電位検査】
頭皮上に電極を置き,手足の感覚神経の電気刺激,あるいは聴覚や視覚に刺激を加え,それに伴う電気信号の変化(誘発電位)を記録します.
ベッドに横になるか,ゆったりした椅子に座っていただき,頭皮などに電極を付けます.その際,皮膚の抵抗を落とすために頭皮を擦る必要があります.全身の力を抜いていただき,刺激を行って記録が終了します.所要時間は検査により差がありますが,概ね30~60分です.
[体性感覚誘発電位] 神経伝導検査と同様の電気刺激を末梢神経に加えて,誘発電位を記録します.
[聴覚誘発電位(聴性脳幹反応)] ヘッドホンでクリック音(カチカチという音)を聞いていただき,誘発電位を記録します.
[視覚誘発電位] テレビ画面に映し出される,白黒が反転する格子模様を見ていただき,誘発電位を記録します.

【針筋電図検査】
手足や体幹の筋肉に細い針状の電極を刺し,電気活動を記録します.使用する針電極は,採血の針より細く,皮下注射用の針と同じくらいの細さです.ベッドに横になっていただき,筋肉に針電極を刺し,まず力を抜いた安静状態での記録を行い,続いて力をほんの少し入れた収縮状態での記録を行います.一度に複数個所の筋肉を検査することが多く,所要時間は約30分です.
出血が止まりにくい病気を患われている方や,血をサラサラにする薬を飲まれている方は,検査時に担当者におっしゃってください.

【神経筋超音波検査】
超音波検査は心臓,血管やその他の内臓を見るためにすでに広く用いられています.当センターでは,神経や筋肉の状態を見るためにも超音波検査を積極的に行っています.ベッドに横になっていただき,衣服を捲り,ゼリーを付けた超音波の機械(プローブ)を皮膚表面において神経や筋肉を観察します.痛みを伴わず安全なため,安心して受けていただけます.所要時間は約30分です.多くは上述した検査と一緒に行います.

<検査を受けるには>
必要な検査の種類や項目は,各患者さんの病状から想定される疾患によって異なります.まずは脳神経内科外来を受診し,医療面接や神経学的診察を受けてください.
検査の当日は,手足の付け根まで捲り上げられるよう,簡単な格好でお越しください.また,大脳誘発電位などお顔回りの検査が予定されている場合は,なるべくお化粧を落としてお越しください(検査時にお化粧を拭き落とさせていただきます).

(2021年4月1日更新)

スタッフ紹介