診療紹介

 病理部は患者さんの体より採取された組織、細胞の形態学的判定、診断を行い、診断、治療行為に重要な根拠を与える業務を行う部署です。当院では病理部のみならず、医学部、歯学部病理学分野の協力のもと、異なった専門領域を有した多数の病理専門医が病理診断業務に携わっています。また経験豊かな細胞検査士が細胞診断業務を行っています。
 当部では病理診断所要時間の短縮と画像情報利用の促進のために新鋭機器、病理診断支援システムの導入を行い、早期の治療開始、入院期間の短縮などを通じて患者さんに貢献したいと考えております。さらに、電子カルテや画像管理システム等の整備と相まって、肉眼、組織および細胞像をより簡便に患者さん、医療者に提供するためバーチャルスライドを含めた病理診断支援システム稼働を目指しております。

診療時間

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
切り出し 午前 疾患病理 病理部 病理部 分子病理 病理部

組織診断 午前 疾患病理 分子病理 病理部 病理部 病理部

細胞診 午前 病理部 病理部 病理部 病理部 病理部

迅速診断(組織) 午前 病理部 分子病理 病理部 疾患病理 病理部

主要疾患

病理診断とは<患者の皆様へ>

「病理診断」とは
 患者さんが病院に来院されると、適切な治療のために適切な診断が必要になります。「病理診断」は最終診断として大きな役割を果たします。患者さんの体より採取された病変の組織や細胞から顕微鏡用のガラス標本がつくられます。この標本を顕微鏡で観察して診断するのが病理診断です。そして、この病理診断を専門とする医師が病理医です。
本院では病理部所属の病理医のみならず、医学部病理学分野、歯学部口腔病理学分野所属の10名以上の病理医が診断業務に携わっています。

 病理診断には以下のようなものがあります。

・ 細胞診断
・ 生検組織診断
・ 手術で摘出された臓器・組織の診断
・ 手術中の迅速診断
・ 病理解剖

 病理診断は主治医に報告され、治療に生かされます。病院に病理医がいることは、より良質の医療を提供することにつながります。

細胞診断
 肺がんや膀胱がんでは、痰や尿の中にがん細胞が混じることがあります。痰や尿を顕微鏡で調べてがん細胞がいるかどうかを判断するのが細胞診断(いわゆる「細胞診」)です。子宮がん検診では、子宮頚部から細胞をこすりとって調べます。のどや乳房などにしこりがあると、細い針を刺して吸引し、とれた細胞の中にがん細胞がいるかどうかを調べる場合もあります。

生検組織診断
 治療方針を決めるために、胃・大腸や肺の内視鏡検査を行った際に病変の一部をつまみ採ったり、皮膚などにできものができたときにその一部をメスなどで切りとったりして、病変の一部の組織を標本にします。この検査を「生検」といい、その診断を生検組織診断とよびます。

手術で摘出された臓器・組織の診断
 摘出された臓器・組織は、病理医が肉眼で病変の部位、大きさ、性状、広がりを確認し、診断に必要な部分を必要な数だけ切りとります。国家資格をもつ臨床検査技師がこの臓器・組織の顕微鏡標本をつくります。病理医が標本を顕微鏡で観察し、どのような病変がどれくらい進行しているか、手術でとりきれたのか、追加治療が必要かどうか、がんの場合、タチの悪さや転移の有無など、治療方針決定に役立つ情報を臨床医に提供します。

手術中の迅速診断
 胃や大腸など内視鏡で到達できる部位、皮膚や乳房など針を刺したり切開を加えたりすることで病変に到達できる部位では、手術前に生検を行って病理診断します。しかし、病変が体の深い部分にあるために生検が難しい場合、手術前に病理診断ができず、「術中迅速診断」を行います。術中迅速診断では、手術中に採取された病変組織から10分程度で病理診断が行われます。診断結果は執刀医に連絡され、手術方針が決定されます。病変がとりきれたかどうかの確認のため、手術によってとりだされた臓器・組織の断端を調べたり、がんの転移が疑われる部分を調べて手術で切除する範囲を決めたりするときにも、術中迅速診断は役立ちます。

病理解剖
 ご遺族の承諾のもとに、病死された患者さんのご遺体を解剖させていただくのが「病理解剖」で、剖検ともよばれます。生前の診断は正しかったのか、どのくらい病気が進行していたのか、適切な治療がなされていたのか、治療の効果はどれくらいあったのか、死因は何か、といったことを判断します。事故や犯罪がからむ法医解剖や医学生の教育のために献体していただく系統解剖とは異なるものです。
 病理解剖は、外からわかりにくいように切開し、診断に必要な臓器をとりだして、2時間ほどで終了します。ご遺体は解剖後に清拭されてご遺族のもとに戻されます。病理解剖の肉眼所見は、解剖を行った病理医から主治医へと報告され、ご遺族に説明されます。顕微鏡所見を含めた最終診断は臨床病理カンファレンス(CPC)を行い、多数の関係医師の意見を反映させた後報告いたします。
 病理解剖の結果が蓄積されることによって、他の方法では得がたい医学の進歩への貢献が期待されます。病理解剖はある意味で個人がなしうる社会への最後の貢献といえます。また、故人の体の中でどのような病気がどれぐらい進行していたのかを病理解剖によって明らかにし、その苦しみがいかばかりであったかを知ることは、医療者にとって何にも変えがたいものと考えます。

検体保存の意義とプライバシー保護
 医療従事者は、質の高い医療の提供を第一の目的として、努力を重ねています。新しい検査法や治療法を開発するための医学研究・医療技術者を育てるための教育も同時に行われています。
 病理診断を行ったあとの残った組織や細胞は、病院の規程に従って一定期間保存され、その後、礼をもって荼毘だびに付されます。これらの検体が医学研究・教育・診断の精度管理に用いられる場合もあります。この場合、個人の特定ができないよう、プライバシーの保護に細心の注意を払って行いますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

スタッフ紹介

トピックス

スタッフ紹介

【医師】
  上原 久典(部長、教授、病理専門医、細胞診専門医、分子病理専門医)
  坂東 良美(副部長、教授、病理専門医、細胞診専門医、分子病理専門医)
  常松 貴明(副部長兼任、歯学部准教授、口腔病理専門医、分子病理専門医)
  住田 智志(特任助教、病理専門医、細胞診専門医)
  宮上 侑子(特任助教、病理専門医)
  遠藤 秀子(非常勤医師、病理専門医、細胞診専門医)
  厚美 憲吾(医員)
  蔭山 武史(医員)
  紀本 彩佳(医員)
  木内 華由(医員)
【臨床検査技師】
  森河 由里子(主任、細胞検査士)
  三好 雅士
  大嶺 佑華
  片坐 諒(細胞検査士)
  保田 朋子(細胞検査士) 
  仲野 吏南(細胞検査士)
【事務補佐員】
  板東 亮子
【技術補佐員】
  菅野 由佳
  

業務の年次推移

組織診  学内(うち迅速診断)学外(うち迅速診断)細胞診  剖検
平成17年  5097(526)         7400 40
平成18年  5345(508)         7692 43
平成19年  5946(456)         7991 41
平成20年  6124(465)         8063 35
平成21年  6777(533)         8324 37
平成22年  7028(442)         8806 57
平成23年  7378(478)         9265 56
平成24年  7480(463)         9049 38
平成25年  7308(531)         8759 42
平成26年  7586(525)         8417 29
平成27年  8365(543)         8365 35
平成28年  8186(558)         8174 28
平成29年  8326(602) 50(20)  7777 29
平成30年  8712(675) 83(40)  7560 30
令和1年   9015(728) 91(43)  7401 29
令和2年   8377(618) 93(45)  6977 18
令和3年   9029(685) 96(46)  7639 16
令和4年   8859(718) 59(30)  7354 29
令和5年   8887(616)3403(58) 7479 26
         (平成23年から婦人科細胞診の一部外注)

カンファレンス

1.病理診断カンファレンス
  月〜金 9時30分から 病理部
2.外科病理症例検討会
  金 16時00分から 病理部
3.病理解剖検討会(CPC) (病理、臨床科)
  水 14時から 基礎B棟2階 病理カンファレンス室
4.泌尿器カンファレンス(泌尿器科、放射線科、病理)
  月1回 病理部
5.乳腺カンファレンス(乳腺外科、病理、超音波)
  2−3月1回 病理部
6.サルコーマカンファレンス(整形外科、外科、内科、小児科、泌尿器、形成外科、病理、放射線)
  2−3月1回 日亜ホール

コンサルテーション

高度医療を支えるため、専門領域外の難解症例については国立がんセンターのがん診療支援システムや他の国内外の専門医のもとへ積極的に診断依頼を行っています。また、地域医療機関よりのセカンドオピニオンやコンサルテーションなどの診断依頼にも迅速に応えています。

研修医募集

研修医募集
初期研修
 徳島大学病院卒後臨床研修プログラムの選択科として研修してください。
 内容:手術材料・生検材料の組織診断、細胞診断、切り出し、標本作製、病理解剖、CPCで発表など。
 初期研修医の受け入れ:平成20年度(2名)、平成21年度(2名)、平成22年度(2名)、平成23年度(3名)、平成24年度(5名)、平成25年度(9名)、平成26年度(7名)、平成27年度(7名)、平成28年度(11名)、平成29年度(10名)、平成30年度(10名)、令和1年度(6名)、令和2年度(8名)、令和3年度(3名)、令和4年度(6名)、令和5年度(5名)

後期研修
 病理専門医、細胞診専門医の取得を目指します。医学部病理学分野の大学院生として研究を行いながら診断のトレーニングも行い、学位と専門医を同時に取得することも可能です。
 後期研修医:3名研修中

日本病理学会研修認定施設、日本臨床細胞学会認定施設です。
連絡先:上原 久典 uehara.h@tokushima-u.ac.jp