診療紹介

口腔内科は、口腔疾患並びに全身疾患に付随する口腔症状・口腔病変の治療及び緩和を行う診療科です。口腔粘膜の潰瘍や水泡などを生じる疾患や細菌・ウイルス感染症、カンジダ症(真菌症)、前癌病変である白板症などの口腔粘膜疾患をはじめ、炎症性疾患、全身疾患の部分症状として口腔内に症状をきたすベーチェット病やシェーグレン症候群などの自己免疫疾患、口腔症状を伴う神経疾患や血液疾患、最近増加している口腔乾燥症、舌痛症などをはじめとする歯科心身症などのあらゆる口腔内科的疾患を対象としています。また、入院患者さんの口腔ケア、摂食・嚥下障害の緩和および治療を医科診療科とも連携して行います。さらに、地域連携活動として要支援・介護者の入院歯科治療も行っています。

診療時間

主要疾患

口腔粘膜疾患

口腔の病気は舌や頬、歯茎などの軟らかい組織にできる病変と、歯や顎の骨などの硬い組織にできる病気の2つに分けられます。この軟らかい組織にできる病気には、水泡を形成する疾患、潰瘍を形成する疾患、カンジダ(真菌)症、口腔粘膜が白くなる疾患や白色のレース状病変を呈する疾患など多彩です。特に口腔粘膜が白くなる白板症は前癌病変のひとつとされ、経過観察中に数%が癌化するとされています。口腔内に気になる症状がある場合は口腔内科での診察をお勧めします。

口腔乾燥症

口の中は常に唾液によって湿った環境にありますが、唾液腺の疾患や糖尿病などの全身疾患、放射線治療、高血圧の薬や抗うつ薬などの薬物、高齢、自律神経失調症などにより口の中が乾燥する状態を口腔乾燥症といいます。当科では口腔乾燥症に対して適切な検査を行い、その緩和をめざします。

口腔内の炎症性疾患

口の中にはう蝕菌や歯周病菌をはじめ、種々の口腔常在菌が存在しています。こういった口腔細菌によって引き起こされるう蝕や根尖性歯周炎(歯の根の炎症)、智歯周囲炎(親知らずの炎症)は重症化すると骨の周囲に付着する筋肉と筋肉の隙間や、顎の下や唾液を作る組織の周囲に炎症が広がる病気(蜂窩織炎)を引き起こすことがあります。当科では重度の口の中の炎症に対して超音波検査やCT、MRI検査などにより迅速に原因となった歯を検索し、通常は入院下に治療を行います。

ベーチェット病やシェーグレン症候群などの自己免疫疾患

自己免疫疾患とは細菌やウイルスなど自己とは異なる異物を認識してそれを排除しようとする体の免疫機構が、なんらかの原因によって自分自身の正常な細胞や組織に対してまで過剰に反応し攻撃を加えてしまうことで症状をきたす疾患のことです。口の中が乾燥する、眼が乾くなどの症状をきたすシェーグレン症候群や眼症状(ぶどう膜炎)、口腔症状(潰瘍)、皮膚症状(結節性紅斑など)などの口腔症状以外の全身症状を認めるベーチェット病などが代表的な口腔内の自己免疫疾患です。当科では上記疾患に対して内科や皮膚科、眼科などと連携しながら検査、治療を行います。

口腔症状を伴う神経疾患や血液疾患

顔の知覚(痛い、熱い、冷たいなど)を司る神経が三叉神経ですが、洗顔や歯磨き、ひげそりなどで顔に一瞬電気が走るような痛み(電撃痛)をきたすことがあります。これを三叉神経痛と呼びます。いろいろな原因(脳内にできた腫瘍や外傷、神経の血管圧迫によるもの、他原因不明のもの)でおこりますが、当科ではCTやMRIなどの検査を行い、必要があれば脳神経外科などと連携しながら治療を行います。その他、出血が止まりにくい血友病や白血病、再生不良性貧血などの血液疾患を有する患者さんの抜歯などを行います。

舌痛症や歯科心身症など

舌の表面に外見上異常がないにも関わらず、舌の先端や縁にやけどをしたときのようにヒリヒリ、ピリピリとした痛みをきたす疾患を舌痛症と呼んでいます。ビタミン不足、自律神経の異常、ストレス、服用薬物の副作用などが原因と考えられていますが、原因はいまだはっきりしません。最近舌痛症や歯科心身症などの疾患が増加しています。当科では近赤外線を用いた理学療法(臨床試験中)などにより症状の緩和を図っています。

口腔ケア・摂食、嚥下障害の緩和

口から食べることは生命を維持する上で重要な機能の1つであるとともに、食べることの喜びはQOL(生活の質)を向上することにつながっています。超高齢社会を向かえた現在、加齢のほか脳梗塞や脳出血などの脳卒中や脳性麻痺、神経麻痺などの有病者において口腔衛生状態の悪化と摂食、嚥下障害が増加しています。当科ではこのような患者さんの口腔ケアを行うとともに摂食、嚥下障害を有する患者さんのリハビリを通して「口から食べる」ことの喜びを実感していただけるよう障害の緩和を図ります。

その他

重度の歯周病や虫歯などによって保存が困難となった歯や智歯(親知らず)の抜歯、歯根嚢胞(歯の根の尖端に液状物が貯まる疾患)などに対する口腔外科的小手術も行っています。

スタッフ紹介