転倒・転落発生率(全体)

3.入院患者の転倒・転落発生率(入院患者の転倒・転落による損傷発生率)

3-1)全体
算式:(入院患者の転倒転落件数 /延入院患者数)x1,000(パーミル)
考察:転倒・転落発生率は、病院として転倒・転落予防の取り組みを組織的・効果的に行えているかどうかの指標になります。徳島大学病院では、全国平均値より低い値を維持しています。この傾向を維持し、更に低下させることを目指していきます。

転倒・転落発生率(全体)

(実データ:単位はパーミル)

2020年度: 2.48
2021年度: 2.69
2022年度: 2.28
全国平均(参考値*):2.70
(一般社団法人 日本病院会 2018年度 QIプロジェクトのデータより算出)

転倒・転落発生率(損傷レベル3a以上)

3-2)損傷レベル3a以上
算式:(入院患者の患者影響度3a以上の転倒転落件数 / 延入院患者数)x1,000(パーミル)
考察:転倒・転落発生率は、病院として転倒・転落予防の取り組みを効果的に行えているかどうかの指標であり、損傷レベルの高いもの(手術や大きな処置を必要とする)を指します。徳島大学病院においては、2023年5月までの新型コロナウイルス感染症拡大による「ご家族の面会制限」が、患者さんのせん妄状態に大きく作用しているもの(ご家族との交わりや見守りが少ない、病棟外へ出れないなどの理由によるもの)と考えており、せん妄対策を強化し発生の低下に努めています(せん妄マニュアル制定とその運用開始)。

転倒・転落発生率(損傷レベル3a以上)

(実データ:単位はパーミル)

2020年度: 0.23
2021年度: 0.27
2022年度: 0.23

転倒転落アセスメント実施率

4-1.入院患者の転倒転落アセスメント実施率

算式:(入院時転倒転落アセスメント実施件数 /入院患者数)x100
考察:転倒・転落発生を予防するためには、患者さんの中でもそのような恐れが高い方を洗い出し、その危険性(リスク)をアセスメントして多職種(医師・歯科医師、看護師、薬剤師、作業訓練士等)で予防対策を立案し実行することが必要です。この指標は、どの程度病院が危険性を察知し、この予防に努めているかを示すものになります。徳島大学病院では概ね予防に対する意識は高い(ほぼ100%の患者にアセスメントを行っており、これを維持している)ですが、前項3.の実際の転落・転倒の発生数の低下に今後どのように結びつけていくかが課題と言えます。

転倒転落アセスメント実施率

(実データ:単位は%)

2020年度: 98.8
2021年度: 98.8
2022年度: 98.8

入院患者の転倒転落再アセスメント実施率

4-2.入院患者の転倒転落再アセスメント実施率

算式:(転倒転落再アセスメント実施件数 /入院患者数(アセスメントを1回以上施行))x100
考察:一度転倒・転落を生じた患者さんは、再度転倒・転落を生じやすい(ハイリスク)と報告されています。従って、転倒・転落を経験した患者さんを再度拾い上げ、その危険性(リスク)を再アセスメントすることが重要です。この指標は、どの程度病院が危険性を共通で認識し、この予防に努めているかを示すものになります。徳島大学病院ではせん妄ワーキンググループ発足に伴い、2019年度から実施率が急上昇していますが、実際の転落・転倒の発生数の低下に結びつけるためには、更に再アセスメント率の上昇に努めること(100%に近づける努力)が必要と考えられます。

入院患者の転倒転落再アセスメント実施率

(実データ:単位は%)

2020年度: 70.6
2021年度: 71.7
2022年度: 68.4

目標値:「Quality Indicator 聖路加国際病院の先端的取り組み」を参考とした